◆◆ 研究会のご紹介 ◆◆

21世紀を迎える前に
 食品分野では、伝統や文化に支えられた技術を基礎とし、成分の分析や分離・精製を行い、大量生産のための効率的製造方法の確立などを行ってきました。大量生産・大量消費は、化学、自動車、家電製造にも顕著にみられ、20世紀を特徴づけるものです。しかしながら、今日、食品、医薬、化学などのさまざまな分野で安全性の欠如、環境問題など、大量生産消費を基礎とした従来型技術の限界や弊害が生じてきています。一方で、20世紀最後の10年は、コンピュータ、ネットワークなど情報技術(IT)の目覚ましい発展、生命科学におけるDNA組換え技術の登場などがありました。来たる21世紀は、IT、DNA・バイオ、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)等のマイクロ/ナノテクノロジー、すわなち、微細科学技術の3つが産業上重要となるといわれています。 食品分野においても、微細構造と機能に着目した解析や利用がその品質管理や物性制御に不可欠と考えられます。たとえば、高純度化した成分は一般に不安定でその利用が困難であること、また、食品機能の発現には、その微細構造が深く関与することなどのためです。ここで食品の微細構造とは、生体高分子の高次構造から始まり、ナノメーター、マイクロメーターサイズの構造を指します。

微細科学技術システム
  微細構造と機能発現を対象とする食品微細科学技術システムの構築には、食品科学や分析科学、界面科学、物理化学、高分子化学などの理学的アプローチ、さらに食品工学や計測工学、微粉砕、乳化、分離、反応、MEMSなどの工学的アプローチが必要となります。これらのアプローチにより食品微細構造を解析し、機能との関連を解明すること、あわせて微細構造を制御した新規な機能発現システムの構築を図っていくことが望まれます。  食品微細科学は学際的分野であり、産業的には食品、医薬品、化学、電子などの多くの産業が関わる業際的分野と言うことができます。さらに、微細科学の適用により新産業創出の可能性が大いにあると考えられます。たとえば、MEMSを応用した微細構造が制御されたマイクロチャネルの作製、それを用いた新規な分離場や反応場の構築などがあげられます。  食品微細科学の推進にあたっては単独な研究機関では限界があり、産・官・学の連携をとる共同研究や情報の共有、すなわちネットワーク化が必要不可欠です。

会の運営および名称
 現在、食品科学技術についての学会、研究会、工業会は多数ありますが、微細科学に関する研究会は設立されていません。また既存の研究会の多くは会費や入会費が高く、会合への参加や運営なども含めて研究者の負担が大きいのが現状です。 そこで、インターネット形式で行う新しいタイプの研究会を提案します。研究会誌やNewsの発行、研究例会、幹事会、質問、会員への連絡などを主として電子メールやWebで行うことにより、手軽に参加できる新たな研究会を実現します。この手法は、印刷等の費用が軽減され、安価な会費で会の運営が行えるので遠隔地からの参加や学生や若手研究者の参加も容易となります。また多忙で研究会等への参加が困難な企業幹部クラスの参加、熟年研究者からの経験に基づく情報発信も期待されます。
本研究会のメリットは、
  @どんな場所からでも参加が可能になり、
  A時間を問わず、
  B若手の積極的な意見の取り入れが可能で、
  C学生会員にとっては就職活動の一環としての利用も可能になります。
また企業にとっては、
  @低コスト・短時間での研究会活動への参加、
  A最新情報の入手、
  B優秀な学生採用の選択肢が増える等のメリットがあります。
同様に大学研究者には、
  @研究活動の状況や成果を実用的な場に発表する機会を提供し、
  A企業との連携や研究資金の調達活動の一助にもなるはずです。

 会の名称は、食品微細科学研究会(英語名:Food Microscience Network)、略称として、MicroscienceよりMICS研究会としました。ミックス(混合)による研究者のネットワーク化を推進しようと考えた次第です。この研究会が2000年10月よりスタートします。食品微細科学に関心をもたれる方の入会を期待いたします。



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