◆◆ ご挨拶 ◆◆
食品微細科学研究会 会長 宮脇長人
  食品は複雑な構造より構成されている。これを構造の小さい順に列挙すると、原子・分子、溶液、結晶、ゲル、エマルション、サスペンション、膜、オルガネラ、細胞、組織などを挙げることができる。これらは、高度な階層構造(ハイアラ−キ−構造)を形成しており、大きなシステムはそれより小さなシステム(サブシステム)を包含する構造になっていることが多い。
 食品には一次機能(栄養機能)、二次機能(嗜好機能)、三次機能(生体調節機能)があることが知られており、これらの機能は、従来、主として食品成分との関連において、栄養化学、食品化学などの分野において専ら研究が行われてきており、多くの成果がすでに蓄積されてきていることは周知のとおりである。
 一方、食品機能は成分のみによっては説明できない部分も存在すること、そしてそのためには構造を検討する必要性のあることが徐々に明らかにされつつある。しかしながら、食品の多様な機能と、上記階層構造のどの部分が相関するかはケ−ス・バイ・ケ−スの取り扱いしかなされておらず、統一的な方法論は存在しないのが現状であろう。
 食品微細科学研究会が、“構造”という視点を中心にして食品機能を系統的に見直すことによって、食品機能の新しい側面が見えてくること、そしてその延長線上にバイオテクノロジ−やナノテクノロジ−などの先端技術との接点が自ずから拓けてくることを期待したい。




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